相手に変わってほしいとき

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子どもでも大人でも、相手の言動が気になったり、変わってほしいと思ったとき。
どうやって接することが効果的なんだろうと考える。

たとえば、子育てしているママにとって、家事に、子育てに、仕事にと慌ただしい日々の中で
「早くして!」「何やってんの!」「もういいからっ!」などの言葉を1日に何回も言ってしまったりする。

子育てに限らず、大人同士でも表現すら違えど、
「まだですか?」「どうしてやらないの?」「分かってないね!」ってな感じのことを言ったりする。

相手の言動に腹が立ったり、不満を感じたとき、それを相手へどんなふうに伝えているだろうか?

例えば、「あなたがわるい」「おまえのせいだ」「そういうことしないでよ」と一方的に責める。
さらにエスカレートすれば「暴力」「体罰」のような形で怒りや不満をぶつけている場合もある。

こういった「相手を責める」や「怒りにまかせて不満をぶつける」ことを続けていくと、それを受けとってしまった相手側は、脳の奥にある「扁桃体」が活動して体がこわばっていったり、おどおどするようになったり、無表情無抵抗という状態へとつながっていく。

また怒りや暴力などの体罰で「恐怖」を与えられることにより、受け取ったその「恐怖」がトラウマになる場合もある。とくに相手が子どもだった場合は、このトラウマがその後の人生に何かしらの問題を発生させる。

相手が子どもの場合には、大人の都合を伝えるだけでは決して変化しない。なぜかというと、大人がたとえどんなに困っていても、子ども自身が困っていなければ、そもそも変わる必要性が分からないからだ。変わる必要性が理解できていないのだから、もちろん変わることもできない。

つまり、大人も子どもも「変わることの必要性」を自ら感じることが大切で、じゃ、その必要性をどうしたら感じることができるのかってことになる。

それにはまず、相手自身が自分のことを「信じて認めてくれている」という経験や体験を繰り返し繰り返ししていく中で、だんだんと変わることへの必要性を理解する土台をつくることだ。そしてその土台をつくるためには、親であったり周りにいる大人が相手の手本になるということが必要で。土台を形成するためには「相手の手本」となることが最も効果的とも言える。

この「相手の手本になる」ということを理解するのに面白いエピソードがある。

私が幼児教室の講師時代にこんな相談をされた。3歳のお子さんを保育園に預けていらっしゃるお母様から。

『ここのお教室へ朝来る時はうちの子は必ず挨拶します。しかし、保育園に行ったとき、朝、なぜか挨拶をしません。なんで挨拶しないの?と聞いたら、「お教室の先生たちはみんな挨拶してくれるけど、保育園の先生たちは挨拶しなさいと言うけど、自分は挨拶しないからイヤだ!」と言ったんです。どうしたらいいでしょうか・・・』

3歳なのに?と思うかもしれませんが、3歳にもなればもう既に大人が「していること」をよく見ている。「言っていること」と「やっていること」の矛盾にも気づく力が十分に備わっている。

またこんな子の様子にも「手本になる」ことの大切さに気づかされた。その子も3歳でした。

『朝来ると私に「おはようございます!さむいですねー」と言ってくれました。私も「ほんとうにさむいですねえ」と言いました。するとその後ろから、お母さまがにっこりと笑いながら「先生、おはようございます。今日はほんとうにさむいねですねえ」と言いました。』

きっとこの子は、お母さんがいつも誰かと交わしている挨拶を「手本」として観察をしていて、その真似をしたんですね。

またこんな子もいた。4歳の子とそのお父さま。

『朝教室につくなり私に「今日は寒いから電池が切れて挨拶する元気もないし、歩けない!」と言ってその場にうずくまりました。するとお父さまが、「ここのお教室はあたたかいから電池がいっぱいになるよ!」と声をかけると、元気に「先生、おはよー」と言ってスタスタと歩いてお教室の中へ入っていった。』

こんな子どもたちの姿から「相手を変えたい」と思ったときに大切なことは何かに気づかされたのだ。

それは、誰かに押し付けられたり、命令されたり、支配されたり、コントロールされたりするのではなく、人格を信じて認めてもらえた上でのメッセージが必要で、そこが前提にあれば、相手はしっかりと感じて受け取ることができるということ。

とくに子どもの場合は、大人の言動の真似をしたり、自分の気持ちを受けとめてもらったり、感情を切り替える手伝いをしてもらえることで、次の行動をするうえで前向きな変化を促すことへつながっていく。

人は時として、相手を変わらせることを目的に「お前がダメなんだ」などと圧力的な態度や言葉、表情などで接する。相手に付加をかけ、ストレスを加えることで相手を変えようとする。こういうやり方をすると、例えば、その高圧的な力に抵抗をしていつまでも泣きじゃくったり、反発してどんどん意固地になったり、不満や恐怖でいっぱいになり感情の切り替えができなくなり収拾がつかなくなる。

脳からいうと、これは記憶や情報を収集し答えを導き出す「ワーキングメモリー」という場所が機能しなくなり、自発的で創造的な言動ができなくなる為でもある。

また「あの時もこうだった」「前もおんなじことしたよね」と過去にあったことを引っ張り出してきて今と重ねて、「だからあなたが悪い」と容赦なく相手を追い込めば、ただ「恨みのパワー」を蓄積させてしまうだけでこれまた逆効果となる。相手をとがめるメッセージや良い悪いで審判をすることで、相手の感情を不快にさせてしまい、反発や恨みの感情を招くだけの結果でおわってしまうのだ。

ここで今日のタイトルにある『相手に変わってほしいと思ったときのクマゴロウ。』へもどるのだけど。

自分が不満と感じる相手の言動に対して、自分の心をどう伝えたらいいのかってこと。

アメリカの臨床心理学者トマス・ゴードン博士は、親のためのリーダーシップ訓練講座『親業』の中で、『「I(わたし)メッセージ』というものを提唱している。

「I(わたし)メッセージ」とは、「自己開示」のことで自分の感情やどんな期待があるのかを相手に伝えるという方法のこと。

「I(わたし)メッセージの伝え方」

1.相手の行動・事実を伝える
(例、○○さんが本を読んでいる自分の隣で大きな音で音楽をきいている)
2.影響(自分に対する、相手ではない)を伝える
(例、音が大きくて本を読みたいけれど集中できない)
3.感情(自分の)を伝える
(例、とても困っているの)

「I(わたし)メッセージのポイント」

1.相手の行為や出来事を非難がましくなく述べる
2.その行為によって生じる「波及効果」を伝える
3.あなたの素直な心情を伝える

会話の基本は、「自分の意見を伝えて、相手の考えをきく」です。

この「自分の意見を伝える」とき、「Iメッセージ」で伝えることができるようになると、相手の行動に「良い悪い」という評価を下さず、自分の気持ちをオープンに表現することができるようになるのだ。

相手に変わってほしいと思うときって、たいていはそこに何かしらの期待がある。

相手に伝える前にまず自分でその感情が何なのかを知ることがとても大切で。たとえば、期待があるからこその「怒り」であったり、「落胆」であったり、「悲しみ」であったりする。だからこそ、相手の行動に「良い悪い」の判断を下すのではなく、「自分はこう思う」というオープンな気持ちを「Iメッセージ」で表現することで、自己理解と他者理解が促進されて相手への変化を促していく。

私自身もこの「Iメッセージ」でたくさんの愛を伝えてもらったからこそ、相手の言うことを素直に受け止めることができた。そして少しずつだけど変われたなーと実感している。

つまり「Iメッセージは愛メッセージなのだ」とクマゴロウは今日考えたのである。

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